10/19 勉強会

【研究報告】

担当:藤本

タイトル:運動中体温低下時のふるえ熱産生反応に関する研究

  • 目的:寒冷環境下において起こりうる運動中の体温低下時のふるえについて、ふるえが開始する深部体温閾値および体温低下に伴うふるえの感受性を安静時と運動時で比較することで明らかにすることを目的とした.
  • 方法:健康な成人男性8名(24±3歳)を対象とし,温浴 (42°C) を行い初期体温を上昇させた後に、冷水環境下 (25°C) において安静を維持する条件 (安静条件) および低強度一定負荷自転車運動を行う条件 (負荷: 0 W、 回転数: 30 rpm) (運動条件) の2条件を行った. 測定項目は食道温、酸素摂取量、主観的温度感覚などとし、ふるえの特性は、食道温と酸素摂取量の関係において、酸素摂取量が増加し始める深部体温閾値、および閾値以降の回帰直線の傾きで表される感受性を検討することで評価した.
  • 結果:食道温は両条件で同様に低下し、条件間に差は見られなかった. ふるえの深部体温閾値は運動条件で安静条件よりも0.3°C低値を示したが、ふるえの感受性は条件間に差は見られなかった. また、全身の主観的温度感覚は運動条件で安静条件よりも高値を示した (寒さを感じにくい).
  • 結論:低強度自転車運動時には安静時と比較して、ふるえが生じ始める深部体温レベルが低温側にシフトし、体温低下時のふるえの開始が遅れることが示唆された。

 

【文献抄読】

担当:小島

タイトル:The Effect of Tactile Training on Sustained Attention in Young Adults

出典:Yu Luo, Jicong Zhang. Brain Sci. 2020 Sep 30;10(10):E695. doi: 10.3390/brainsci10100695.

  • 背景:持続的な注意は,日常生活において非常に重要である.この持続的な注意機能を向上させるためのトレーニングを開発することは非常に有益であると考えられる.そこで,本研究の目的は,触覚トレーニングが視覚的持続性注意機能に及ぼす影響を明らかにすることとする.
  • 方法:健常若年者34名を2グループ(触覚トレーニング群,コントロール群)に分けて実験を行った.実験は7日間で実施され,被験者は1日目および7日目に数学の計算課題と注意課題を実施し,注意課題中は脳波計測を同時に実施した.触覚トレーニング群は,両手を用いた一定張力保持課題を5日間実施した.各群の比較には,数学課題の正答率,注意課題のエラー率,脳波で計測された事象関連振幅のP300とした.
  • 結果:触覚トレーニング群において,介入前に比べ介入後で数学課題の正答率の増加,注意課題のエラー率の減少,P300振幅値の増大が認められた.さらに,触覚トレーニング群では介入前に比べ介入後で前頭前野および感覚運動野の活動増大が確認された.
  • 結論:触覚トレーニングは,持続的注意機能を向上させることが示唆された.