2/8 勉強会

【研究報告】

担当:菊元

タイトル:慢性足関節不安定症が片脚着地動作時の膝関節に与える影響性

  • 目的:膝前十字靭帯(ACL)損傷に関する動作解析の報告は多く,それらの知見は,競技復帰時の基準値や損傷予防の指標として広く用いられている.一方で,スポーツ活動時に好発する外傷として足関節外側側副靱帯損傷(足関節捻挫)があり,足関節捻挫を繰り返すことにより発症する慢性足関節不安定症(CAI)と,ACL損傷の疫学的関連性は先行研究からも明らかである.しかしながら,足関節と膝関節の運動連鎖があるにも関わらず,CAIと膝関節との運動力学的関連性を検証した報告は少ない.CAIが,着地時における膝関節の運動力学に影響を与えると仮説を立て,CAIを有する選手(CAI群)と,足関節捻挫の既往はあるが足関節捻挫の再発や不安定感がない選手(Coper群)との着地動作の相違を明らかにし,足関節捻挫受傷後に,足関節捻挫を繰り返さないCoperに導くことが,ACL損傷予防の一助となると考えた.
  • 方法:高校生女子72名144足を対象に,先行研究の基準に準じてCAI群(16足)Coper群(31足)の選定を行った.三次元動作解析装置を使用して,片脚立位より前方へ跳躍し片脚着地するSingle Hop Testを課題試技とし,足関節と膝関節の関節角度とモーメント値を算出した.
  • 結果:両群間で床反力値や跳躍距離などに違いは認められず,両群で同程度の跳躍を実施していたことが考えられ,足関節の機能的安定性の相違が,片脚着地動作時の膝関節へ及ぼす影響を検証できた.膝関節モーメント値に関して,伸展モーメントはIC時のみにおいて,Coper群が有意に高値を示し,外反モーメントは着地動作の20%から膝関節最大屈曲位までに加え,最大値においてもCAI群で有意に高値を示した.
  • 結論:ACL損傷の危険因子として考えられている膝関節外反モーメントの増加が観察されたCAI群では,着地時の足関節外転角度の有意な増加も認められ,足関節の着地動作の相違が膝関節の運動力学にも影響を与えている可能性が示唆された.また,CAI群の着地動作はCoper群に比して矢状面上の足関節と膝関節モーメントが低値であり,各群で異なる着地動作を行っている可能性が高いと考えられる.
  • 今後:CAIの病態モデルには構造的不全も含まれており,本研究ではその検証は行えていない.CAIを細分化し,各病態における着地動作時の膝関節へ与える影響を検証することで,より詳細な損傷危険因子の抽出に近づけると考えている.

 

【文献抄読】

担当:中村(雅)

タイトル:Whole Egg Vs. Egg White Ingestion During 12 weeks of Resistance Training in Trained Young Males: A Randomized Controlled Trial.

出典:Bagheri R, Hooshmand Moghadam B, Ashtary-Larky D, Forbes SC, Candow DG, Galpin AJ, Eskandari M, Kreider RB, Wong A.
J Strength Cond Res. 2021 Feb 1;35(2):411-419.

  • 目的:本研究の目的は,12週間のレジスタンストレーニング期間中の全卵摂取と卵白のみ摂取が筋断面積,体組成,筋力,無酸素性パワーに及ぼす影響について検討することである.副次的な目的として全身のホルモン応答の検討も行う.
  • 方法:30名のトレーニングを1年以上行っている男性を全卵摂取群(n=15)と卵白のみ摂取群(n=15)に無作為に群分けを行った.全卵摂取群は3個の卵を摂取し,卵白のみ摂取群は,同じような窒素量になるように6個分の卵白を摂取した.レジスタンストレーニングは,12週間週3回の頻度(36セッション)実施し,トレーニングの前後に膝伸展筋群の筋面積,除脂肪体重,体脂肪,膝伸展筋力,握力,無酸素性パワー,血液中のホルモン濃度を測定した.
  • 結果:本研究の結果,卵白のみ摂取群と比較して,全卵摂取群において体脂肪率,血中のテストステロン量,膝伸展筋力,握力の増加が大きいことが明らかとなった.一方,膝伸展筋の断面積,除脂肪体重,無酸素性パワー,その他の血清中のホルモン量には有意な交互作用が認められず,両群ともに有意に改善をした.
  • 結論:レジスタンストレーニング後の全卵摂取は同じ窒素量の卵白のみ摂取と比較して,筋力や体脂肪率を大きく改善することが可能である.