12/13 勉強会

【研究報告】

担当:櫻井

タイトル:ASMRによるリラックス効果の誘発(Induction of relaxation by autonomous sensory meridian response

  • 背景:ASMRは若者の間で利用されている。利用の目的は、リラックス効果、睡眠導入、ストレス軽減、不安軽減である。ASMRとは視聴覚からの刺激(トリガー)によりうずく感覚のことでありポジティブな感情を導く。ASMRの聴覚刺激はトリガーの中で最も重要な役割を果たし、視覚刺激よりも聴覚刺激のほうがよりトリガーとなると報告されている。一方クラッシック音楽もリラックス効果があることは既知である。聴覚刺激から手軽にリラックス効果が得られるクラッシック音楽に対しASMRも聴覚刺激だけに限定することでASMRとクラッシック音楽とのリラックス効果の脳機能の違いが明確となる初めての研究である。
  • 方法:対象者は20歳以上の健常者30名としASMRとクラッシック音楽を聴きながらfMRIの撮像を行った。クラッシック音楽とASMRの脳機能の違いを比較した。実験終了後に対象者に対しアンケートを行った。ASMRでうずきを感じたか、クラッシック音楽でfrissonを感じたか。また傾聴中の2種の気分(「心地よい気分」「ゾワゾワした気分」)の強さの回答を求めた。
  • 結果:アンケート結果より全員体性感覚のうずきもfrissonも感じていなかった。気分に関したアンケートでは心地よさは有意差が無く、ゾワゾワした気分は有意な差が認められた。脳機能ではクラッシック音楽とASMRでは共通した部位で有意な賦活が認められた。ASMRでは、さらに多くの部位の賦活が認められた。ASMRに特有の賦活部位は内側前頭前野であった。
  • 結論:クラッシック音楽とASMRは聴いているだけで心地良さを感じリラックス状態を得た。ASMRはクラッシック音楽より複雑な脳機能を介しており特に内側前頭前野の賦活が特徴的であった。ASMRを聴覚刺激に限ったが視聴した場合と同様の効果があった。ASMRはうずきの体性感覚はなくとも聴くだけで心地良いリラックス状態が得られると示唆された。ASMRは、手軽であるため、今後はさらに幅広い世代でウェルネス利用される価値が十分に認められた。

 

【文献抄読】

担当:高見澤

タイトル:Muscle Oxygen Supply and Use in Type 1Diabetes, From Ambient Air to the Mitochondrial Respiratory Chain: Is There a Limiting Step?

出典:Elsa Heyman, et al., Diabetes Care 43 (2020) 209-218. doi: 10.2337/dc19-1125.

  • 目的:in vivo(運動中)とex vivo(筋生検)を組み合わせて,肺からミトコンドリアまでの酸素供給・利用における1型糖尿病(T1D)の影響を検討すること.
  • 方法:対象はT1D16名,健常成人(CON)16名とし,肺拡散能および運動時の筋血流・骨格筋酸化能を評価した.また,血液サンプルを分析し,酸素解離曲線をシフトさせる代謝性・ホルモン性物質を計測した.さらに、筋生検を行い、ミトコンドリア機能を計測した.
  • 結果:T1Dでは,肺拡散能と動脈血の酸素輸送量は正常であった.しかし,T1Dでは2,3-ジホスホグリセリン濃度が高値にもかかわらず,運動時の骨格筋酸化が抑制された.また,ミトコンドリア機能(呼吸鎖複合体Ⅳ)がCONと比較してT1Dで低値を示しており,このミトコンドリア機能の低下は糖尿病罹患期間およびHbA1cとの間で有意な負の相関が認められた.
  • 結論:T1Dにおける骨格筋酸化能およびミトコンドリア機能の低下は運動耐容能の低下を引き起こすだけでなく、糖尿病合併症の発症にも影響を及ぼすことが示唆された.