3/7 勉強会

【研究報告】

担当:神居

タイトル:後頭頂葉への陽極経頭蓋直流電流刺激介入が視覚追従課題成績と関節位置覚に及ぼす影響

  • 目的:後頭頂葉(PPC)に対する陽極経頭蓋直流電流刺激(A-tDCS)が下肢の視覚追従課題成績および関節位置覚に及ぼす影響を明らかにすることとした.
  • 方法:対象は健常成人15名とし,介入条件は2条件(A-tDCS条件,sham条件)とした.刺激電極は右PPCに貼付し,1.5mAの刺激を15分間実施した.視覚追従課題は足関節背屈角度制御とし,目標値と実際の角度の角度誤差を算出した.関節位置覚課題は他動的に提示した足関節角度を自動運動によって再現する課題とし,他動運動時と自動運動時の角度の絶対誤差と可変誤差を算出した.
  • 結果:A-tDCS介入後に,視覚追従課題の角度誤差と関節位置覚課題の可変誤差が減少した.関節位置覚課題の絶対誤差の変化は認められなかった.
  • 結論:PPCへのA-tDCS介入が視覚追従課題成績を向上および関節位置覚課題の可変誤差を減少させることが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:玉越

タイトル:Physical exercise promotes integration of grafted cells and functional recovery in an acute stroke rat model

出典:Stem Cell Reports, Volume 17, Issue 2, 8 February 2022, Pages 276-288

  • 目的:本研究は脳卒中モデルラットを使用して、脳卒中後の神経幹細胞移植治療と運動の組み合わせが、神経機能に与える影響について検証した。
  • 方法: SD雄性ラットを使用し、中大脳動脈閉塞再灌流モデルを作製した。実験群には脳卒中群、脳卒中+運動群、脳卒中+細胞移植群、脳卒中+細胞移植+運動群を設けた。細胞移植は術後3日目にヒト神経前駆細胞を線条体に注入した。運動は術後7日目から毎日2回20分ずつ行った。行動評価を経時的に行い、運動終了後に細胞増殖能(BrdU・Ki67)、細胞死(TUNEL)、神経細胞の成熟度合い(Nestin・DCX・NeuN)、細胞特定(FoxG1・TBR1・DARPP32)、神経回路(逆行性単シナプス神経トレーサ)の解析を行った。
  • 結果:脳卒中後に細胞移植と運動を組み合わせた介入を行うと単独介入の群より運動機能回復が促進された。また、線条体に移植した神経前駆細胞は運動によって細胞分化が促進し、線条体の神経細胞へと変化した。また、皮質の神経細胞との神経回路統合が促進され、神経活動を高めた。
  • 結論:脳卒中後の神経幹細胞治療に運動を組み合わせることで、神経幹細胞の分化が促進され、機能回復向上を見込めることが実証された。