4/18 勉強会

【研究報告】

担当:山田さん(M2)

タイトル:咬合の強度およびバランスに着目した遠隔促通の検証

  • 背景:歯の咬合は,離れた筋を活性させる.これは遠隔促通と呼ばれ,歯根膜受容器や筋紡錘から生じる三叉神経の入力に起因する.近年では,遠隔促通に関して,咬合の強度とバランス(咬合圧の左右比率)が注目されている.
  • 目的:咬合の強度・バランスが遠隔促通に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする.
  • 方法:健常成人27名を対象とした.咬合条件はnobite(咬合なし), moderate(低強度), max(高強度)とした.筋電図は,咀嚼筋,前脛骨筋(TA),ヒラメ筋に貼付した.左右の咬合圧を評価し,咬合バランスとした.足関節背屈動作を左右で実施し,関節運動発揮率(RJD),関節運動遂行時間を評価項目とした.咬合圧が高い方をhyper,低い方をhypoとし,下肢はこれに対応した.
  • 結果:RJDはnobiteと比較してmoderate,maxで有意に向上した.また,nobiteと比較してmoderateで電気力学的遅延(EMD)を含んだ関節運動遂行時間が有意に短縮した.これに関してnobite∼moderateの変化率をhyper/hypoで比較したところ,hyperで有意に大きかった.moderateにおいてhyperではEMDからTAが促通され,hypoでは関節運動後に促通が生じていた.
  • 考察:moderate条件では,EMDからTAが促通され,より多くの運動単位が動員されたことが関節運動遂行時間の短縮に関与した可能性がある.また,変化率でみられた有意差は,咬合バランスがTAの促通タイミング変えたことに起因すると考えられる.
  • 結論:EMDの区間を考慮すると関節運動にはmoderateが最適であり,咬合のバランスは遠隔促通のタイミングに影響を与える可能性がある.

【文献抄読】

担当:越智先生

タイトル:The effects of acute dopamine depletion on resting-state functional connectivity in healthy humans

出典:Caravaggio et al., Eur Neuropsychopharmacol. 2022. doi: 10.1016/j.euroneuro.2022.01.003

  • 背景:背景:意欲、認知機能など脳機能に関わる重要な神経機構としてドーパミン神経系があげられるが、ヒト脳内のドーパミン神経系の評価方法は困難であり、その役割は不明な点が多い。本研究では、AMPT (メチロシン) を摂取させることで脳内ドーパミン産生を抑制させ、安静時脳神経結合性を評価することで、ドーパミン神経系の役割を明らかにすることを目的とした。
  • 方法:47時間の間にAMPTを定期的に摂取させ、ドーパミンを枯渇させた。47時間後にMRIを用いて脳内神経結合性を評価した。
  • 結果:AMPTによるドーパミン枯渇によって、認知機能関わる前頭前野や前帯状皮質と、ドーパミン神経系である腹側被蓋野、黒質の結合性が低下し、疲労感の増加、活気の低下といった気分への悪影響と関連していた。
  • 結論:ドーパミン神経系は大脳基底核―前頭皮質の結合性に重要な役割をもっており、認知機能や気分の低下に関連している可能性が示唆された。